ゴールデンウイークが始まり、島にはたくさんの観光のお客様が見えています。雨も晴天も全力で、お客様はきっとこの自然を存分に味わわれていることでしょう。

去年の今頃は、動植物の芽吹きとともに私の身体もようやく体調が戻ってきた頃。改装の方もまた動き出した時期です。ステンレスのキッチンワークトップが届き、食洗機と洗濯機が届き、家の中がぐっと様相を変えたことを思い出します。
あれからあっという間に一年。いまでも毎日嬉しく使っているキッチンのワークトップの改装を、ご覧いただけたらと思います。

 

入居当初のキッチンは、見るにも驚きの様子。ステンレス台は古く、サイズの合わない手作りのガス台は銀色のテープで留められているところが崩れかかり、引き出しは怖くて開けられない、、、最終的にはすべて取り除いたのですが、キッチン台の裏側と壁の間には、長年ネズミが集めたすばらしい量の遺産が残っていました。その時までそれらとともに生活していたかと思うと。。。(身震い)考えないようにしましょう!

 

ここはどう見ても全面的に作り替え確定!ということで、入居の半年以上前から構想を練り始めたキッチン台の入れ替えとなりました。

島のキッチン事情を見てみると、ステンレスのワークトップ・シンク・ガス台一体型の団地キッチンと、システムキッチンが主流。一昔前のものになると手作りで造作されたタイル貼りのシンクもありました。それらはなんとも情緒があり、魅力的!いまだに数多く残っていることにも実際には感動しています。しかし実用性や造作の工程、家の作りを考えるとなかなかハードルが上がります。
石垣島にあるシステムキッチンの展示場を見に行ってみると、有名メーカーのシステムキッチン(しかし最新式ではないのが石垣感です。笑)が販売されていましたが、どれもキッチン全体の雰囲気、材質、サイズ感、そしてなんといっても重要な価格!は希望とは程遠いものばかりでした。

どんなキッチンにしようかしら?予算的にもお得意の?造作しかないなぁと考えていたものの、木製ワークトップのキッチンはこれまでに2回経験済みでしたし、アリに簡単に攻略されたり一年を通して高温多湿のこの家のイメージではありません。

そこで、ステンレスのワークトップにガスコンロも一体にした、いわゆるI型のフラットのキッチンを考えてみました。シンプルな形です。
調べてみると、広島にある「松岡製作所」という工場にたどり着きました。実際に展示品を見てみると、もう、なんとも美しい。シンプルを極めたキッチンの数々です。職人さん一人一人の手によるオーダーメイドと聞いて、これだ!と思ったのです。

しかしやはり島暮らしの一番の危惧は、輸送が可能かどうか。そしてその輸送費。問い合わせてみると、すぐに見積もりを出していただき予算内での輸送が可能とのこと。そこからオーダーメイドのワークトップ作りがスタートしました。

さて、その製作を依頼してから実際に出来上がるまでの2ヶ月は、本当に楽しかった!まず希望のサイズをお伝えして、図面に起こしてもらいます。
使い勝手を考慮していただき、自分の頭の中にはなかった箇所を追加していただいていたり、太さ、厚みなどもご提案いただきましたが、なるべく理想の形に近づけたいと思い、たとえば壁に水がつかないようにする「水返し」は取れるのか?手前の細さはどれくらいまでが限界か?脚の細さは?など、自分の理想と実用性の調整をしながら進めてもらいました。

プロの意見を伺いながら進められる作業。なんともありがたく、心強く、楽しいものでありました。

私の一番のこだわりポイントはシンクの形をできるだけシャープに仕上げることでした。松岡製作所には「ピン角シンク」という、通常は曲げて加工する部分を溶接によりシャープ感を出すという仕上げ方法がありました。私はどうしてもシャープ感が気に入ってそこにこだわっていたのですが、担当の方によくよく話を聞いてみると、ピン角シンクはよほどのこだわり・希望がないとやりませんよ、というお話。なぜなら角が鋭いと汚れも付着しやすく落ちにくいようなのです。
R(角丸になる部分の角度)がちいさければ小さいほど角がでるので、できればRを小さく(今回は最小のR5で注文)してもらうほうが使い勝手がいいことを教えてもらいました。はてさて、使ってみて納得。R5でも十分にシャープ感は出ているし、シャープすぎないのはかえってよかった。願ったり叶ったりの提案だったのです。角のよごれも毎回の使用で付着して取れにくいことがわかりました、もしここがもっと鋭角だったら、本当に汚れが目立って大変だったろうなと実感です。

 

また、ステンレスの仕上げ方法としては、バイブレーション仕上げ、ヘアライン仕上げという2つの種類の仕上げ方がありました。価格はバイブレーション仕上げが少しだけ上がります。
自分の印象としては、ヘアライン仕上げに惹かれているような気がしていましたが、使い勝手に響くの?見た目はどんな風に変わるのか?どちらがいいのか全くわからない素人です。そこでまた担当の方に伺うと、「汚れないと思われているが意外と汚れが付着するというステンレス。ヘアライン仕上げは掃除が楽。バイブレーション仕上げは傷がわかりにくいという特徴がありますよ」との回答。遠隔のため実物をみて判断できない私に対して、制作例のパンフレットをみながら、これはバイブレーションですね、これはヘアラインですね、と一つずつイメージを湧かせていただいたのもありがたかったです。

 

工程によって担当していただく方が変わっていくこともあるのですが、電話越しでもメールでも、お一人お一人が常に気持ちのよい対応。。これがプロの仕事なのね。と連絡があるたびにワクワクドキドキ。あぁ、この会社にお願いできて、本当によかったなぁ!と思わせられることばかりでした。
ちなみに、この会社のホームページには「松岡剛のスケッチブック」というページがあるのですが、その絵の数々が素晴らしいのです。おそらく社長さんではないのだとは思うのですが、そのページが会社のホームページのひとつのコンテンツとして載せられていることで、この会社の雰囲気を感じずにはいられません。

 

そうして、図面制作に約ひと月。そこから製作所での製造期間 2週間を経て、船積みで広島から沖縄港、石垣港を経て、4月の中旬に黒島港に到着しました。

 

 

ようやくここに辿り着いたキッチンワークトップ。
もうそれだけで夢のよう!
真っさらなシンクを眺めてはうっとり。手垢をつけられては怒り。子供のようにはしゃぐ私。

しかしま~~~~ここまでが本当に長かった!!!

次回はここに至るまでの経緯を、少し遡ってお話しすることにしましょう。

 

設置当初です。

シャープな角のシンク。

右奥にすこしだけみえるのが、以前のガス台です。

こちらが入居前のキッチン部分の写真。奥に見えるのが以前のシンクとガス台です。

ここから、壁はサンゴ系の塗装材の塗り、天井はペンキ、蛍光灯は取り外して照明を付け替えました。現在は、錆びた換気扇は取り外しただけの状態にしてあり、床と奥の壁に見えるタイルの壁は現在もそのままの状態です。