昨日までの2日間は玄関の扉やキッチンなどを作りに大工さんにきていただいた。
わたしもその横で什器づくり。プロの仕事の工程を横で見れるのはとっても楽しい。
休憩中、大工さんが「えらい古いものがすきなんやねぇ。」といった。古い引き戸を開き戸に加工してもらっているのでそれでその話になったのだ。

今ではなかなか作れない手仕事の数々が集結した建具。大工さんが「レトロな雰囲気だ」という引き戸についていた鍵は、いまでは愛知県にある工場一軒でしか生産していないのだそうだ。
とても貴重なものなんだ。。。
昔はこればかりだったのだと言っていた。
この建具、大工さんいわく、寸法やつくりからいうと大正時代のものだという。
高さが1960mmだと昭和初期。これは1735mmだから、明治や大正ではないかと笑う。た、大正ですか…!?憧れの、大正時代に産まれたの…?
日本人の背丈と共に、ドアのサイズはどんどん高いものに変化してきているが、昔は刀で斬り込んでこられないようにというのもあり出来るだけ低くつくられたらしい。想像してみる。なるほど〜。
縁側につかわれていたため、外に触れる建具はボンドが使えないのですべてが木組み。縦長の「ホゾ」が、ほぞ穴を通り綺麗に四つ、並んでいるのは四枚打ち抜きといわれ、これも手仕事の技。無名性の美、技術の高さに感服してしまう。

木は何ですか?ときくと、ヒノキだろうね。とのこと。
すごいなぁ、見ただけでわかるんですか?
木の油分のでかたと、色でわかる。らしい。
驚いたのはここからだ。
わたしは別の場所で杉の木を削っていたのだが、その匂いとはまた違った匂いがする。
その戸を加工するために大工さんが切っていたのだ。すると大工さんが、これは長野県の木曽地方のひのきだね。という。
においを嗅いでごらん、といわれてその場でくんくんとしてみる。
濃くて、とってもいい匂い。
切り口を触ってみると、しっとりしてる。油分がまだまだたっぷり入っているらしいのだ。

大工さんが言うには長野県北木曽地方のひのきなのだとか。
それは、伊勢神宮の建て替えのときに使われる、最優良のひのき。今では一般の建築用材木として切る事はご法度なのだという。
えーーーーーっ!!!!?そんなにすごい木を使ったものだったんですか?!
この建具がもとの持ち主は奈良県だときいている。もしかしたら、お寺を建てることとか、なにか関わりがあるのだろうか。。
そうこうしているうちに、とてもすがすがしいヒノキの匂いが部屋一杯にひろがってきた。
すごい。
大正時代・・・今から100年くらい前の木なのに、切りたての木口から新鮮な香りがプンプンとしている。
ヒノキの匂いって、こんなにもいい匂いなんだ。。
多くを語らない大工さんもこのときばかりは嬉しそうに、僕も2,3しか使ったことが無いんだよ、
といった。大工さん(16から大工を始めて今年で40年目だという!)の長い歴史の中でも2,3回しかお目にかかった事がないらしい。それでも独特のにおいと木の色、油分などで解るのだからすごい。10年に一度の出会いだ。

ようこそ、この場所に来てくれました。
古いものが好きで、このとびらの佇まいがいいなぁ、味があるなぁと思っていたけどまさかこんな事になるとは夢にも思わなかった。
枠が細すぎてこの戸を開き戸に変えるのは難しいと言われており、直前まで悩み使うのを諦めようとおもったけど、思い切って決断できてよかった。そしてその価値を解っている方が大事に施工してくださったことに感謝したい。
終わってみてわたしは本当にいいようのないうれしさで一杯だったが、横を見ると大工さんにも笑みがこぼれていた。