島に来て、4週間が経ちました。掃除ばかりしている毎日のようですが、島の事をいろいろ知る時間もふえました。あっという間のような気もするし、まだまだ始まったばかり、という気もする。同じことを繰り返すこともあるし、毎日違うことが起こる、ということもありました。

3週目に入ったくらいの頃でしょうか。すこし、神戸シックになってきたある日、夜のピクニックを提案してみました。
石垣島から買ってきたパン(久しぶりのパン)と、これまた石垣島にたった1件しかないワイン屋さんで手に入れたワインを持ち、ジャングルの道を通って浜の近くまで車で向かいました。
そこから先は徒歩で。街灯はもちろんなく、手に持ったランプだけが頼りです。
砂浜から岩場へと渡ると、そこは視界を遮るものは何もない世界。人間はこの土地の主人公では決してなく、自然の一部だと改めて感じます。岩に当たる波の音と、風の音が聞こえてきます。
星空の下での、夜のピクニック。
星空の下だと、なぜか、いろいろなことを素直に話し合えるから不思議です。

また別の日には、民宿のお客様や地域の方が集まってのバーベキューに参加させていただきました。
大きなガジュマルの下は、本州の夜よりも涼しい気がします。とても心地のよい風がふいていました。夜遅くまでワイワイと、周辺住民などに遠慮をすることもなく、こんな風に自由に夜の風を謳歌できることの幸せを感じました。

しかし自由ということはひとりひとりが責任を持つということ。島の人々は、自分たちの暮らしを維持し、またよくするために、他の人のためにさく時間も多く、ボランティアのような仕事をいくつも請け負っていることも知りました。協力しあって生きている。自分の得意な分野は人の分までやり、できないことはお願いする。そんな印象を受けます。厳しさがあるのを知っているから、人口が増えることを願いつつも、誰にでも簡単に移住を勧められない事情があるのだろうと想像します。

そんな日々の中ですこしずつ環境や人にも慣れてきて、私自身の肩の力も抜けてきたような気がします。まだまだ私は自分のことだけですが、急がず、自分のペースで暮らせるのも、見守ってくれている周りの方々のおかげです。こちらでも、そして神戸でも。ありがたいことです。

その土地生まれの人は「どう?少しは慣れた?」と気遣ってくれます。また移住者も多い島ではいろいろな方がアドバイスをくださいます。自分の生まれ育った環境ではないこの土地での生活での気づきや、それぞれに苦労してきたということもあるでしょう。

夜、なかなか寝付けなかったり、逆に睡眠不足なのに早く起きてしまうことが続いていたある日、ある女性が「クーラーを止めてアイスノンなどで頭や首筋を冷やして寝るといいよ」とアドバイスを下さいました。クーラーをつけながら寝ることには慣れていなかったのですが、ここに来て以来それが当たり前になっていたのです。実践すると眠れる時間が増えました。

また、違う方からは、こんな不思議なアドバイスをもらいました。大自然だからなのか、思った事が倍増することがよくあるよ。というのです。辛いと思えばそれが半端なく迫ってくるし、楽しいと思えばさらに増すのだ、と。どこにいても当たり前のように聞こえる話ですが、実際に私もこの4週間でそれを実感しつつあります。自然の厳しい場所での生活は、頭で考えているよりも心や体が敏感に反応するようにも思います。

そういえば観察してみると、ここで生活しているひと(この場所で生きるひとたち)というのは、なぜだか楽しそうなのです。トタン屋根のお宅で日中は40度になる室内に住む女性は「私なんか、暑すぎて、お風呂6回入ってるよ!」と楽しそうに笑っています。若いお母さんたちは重たい荷物も真っ黒に日焼けしながら、大丈夫、大丈夫!と言って、ゆっくりと時間をかけて運んでいます。子供達はその周りで頑張れ〜お母さん!とばかりに応援しながら明るく笑っています。

行き詰まった時に思い出したのは、40年ほど前、まだこの島には内地(九州以北の日本)からのお嫁さんがいなかった頃に、新潟からお嫁に来たおかあさんの言葉です。

「島は、楽しいよ。」

それは、ここの島で暮らすことを決める前に聞いた言葉でした。誰よりも苦労してきただろうその人が話す満面の笑顔の言葉に励まされました。
その言葉を思い出すと、今まさに、楽しいことばかりではないはずのところを自分で楽しもうとすることが、島ではどれだけ重要か。ということを教えて貰っているような気がします。

島での気付きはちいさな事ばかりですが、私にとっては未知の世界だった場所、面白くも濃い、そしてハラハラドキドキの4週間でした。
そうしているうちにあっという間に4週間の滞在期間が終わり、一旦神戸に帰る日がやってきました。

まずはひと月、この島を体験できたことに感謝。改装は一時中断しますが、神戸ではこれからの仕事の準備をしたり、片付けや、残してきた仕事をしたいと思います。
この島でできないこともいろいろやりたいなと思いますが、久しぶりの都会の雰囲気に、自分の心はどんな風に感じるのか?そんな心の動きにも注目してみたいと思います。

上の写真は、夕暮れ時の東の空。下の写真は同じ時間に撮影した西の夕暮れの空です。