この家に住み始めてから一年と8ヶ月が既に経ちました。月日が流れるのは本当に早いものです。

天井を張替え、壁のタイルを塗装して以来 手付かずのままの我が家のお風呂場。去年の6月にはシャワーだけを取り変えた後は浴槽のない生活を続けていました。(シャワーだけの浴室というのは沖縄には多いようですが。)
横に切ったポリタンクにお湯を溜め、膝を抱えて「わーい!簡易お風呂ー」などと無邪気に喜べるのはほんの数か月だけのこと。はあ、肩まで浸かりたい。神戸から船で運んできた真っ白なホーローのバスタブは、リビングにその大きな躯体を横たわらせたまま。いつか、きっと、とその時が来るのを信じて待ちました。

それまでの一年は何をしていたかと言いますと、野放しにしたままだったわけではありません。まず基本的な在来工法のお風呂場の作り方すら知らないど素人ですので、まずは手順や素材を調べることからがスタート。
こういう作業は職人さんの仕事だからでしょうか。基本的な情報でもなかなか見つけることができず、全体の作業工程をイメージするのには時間がかかりました。施工方法を考えていると素材にぶち当たり、素材を調べている施工方法が見えてくる、紆余曲折の繰り返し。そしてその方法がこの場所にも応用可能か、材料を選定して購入と配送にも時間がかかります。一つ購入してみてそれが使えそうだったら次の素材、次の道具へと移ると言った具合です。
インターネットや本で調べながら、時にはプロや業界の皆様に教えを請いながら。離島仕様の説明書やご意見はなかなかピンポイントに明示されるものではありませんので、素材については仕様書、説明書、注意書き、全く頭に入ってこないものもありますが、それらで推測し、イメージし、だんだんと、この素材はこの地に馴染むかどうか、はたまた使い物にはならないか、くらいは判断がつくようになってきました。
タイル、ペンキ、接着剤、コテの種類、防水方法。。。素人ながらに素材の特性と施工方法を頭に詰め込み、少しずつ点と点が繋がっていき、、、そしてようやく取り掛かる気持ちも湧いてきて、いよいよ今年8月に入り、着手することを宣言したのでした。
誰にって?
自分に、です。

 

そして着工式、ならぬ、着工宣言記念行事として、仮置きで、恐る恐る浴槽を運んでみることに。
わあ! 一気にお風呂場らしくなってびっくり!(当たり前か・・・。)

浴槽設置位置をきめていきます。
既存の場所につけるということで理想と現実を完全に一致させるのは難しく、予定していたスタイルにするには自分ではちょっと難しそう。。。そんな懸念もあり、妥協するところは妥協しながらですが、収まりのいいようになったら万々歳です。
そうは言っても、普通ならもっともっと狭いシャワー室が通常の沖縄の地に、こんなに広々とした浴室にしてくれていたこの場所の施工主には感謝ですね。足を伸ばして肩までゆっくり浸かれそうなバスタブが置けるだけでもすごいことです。

感謝は一瞬で、すみませんが(笑)。
相変わらず水平垂直はここでも存在しません。両端の長さはそれぞれに違うし、床と中間でも距離が合いません。おまけにお風呂ということでもともと床に勾配があります。ドラえもんもびっくりの三次元 歪みっぱなしな空間です。これは難しくなりそうですよ。

 

まずは防水。
ホーローの浴槽はサビにめっぽう弱い。しかしここは塩害の多い場所。この地の雨風による建物や車の腐食は内地に比べて何倍ものスピードだと言います。
もともと古い樹脂製の浴槽が取り付けられていた場所には撤去した際に穴がぽっかりと空いた状態でしたので、これはコンクリートで埋めてもらっていました。(コンクリートに混ぜ込む砂も、この島のものを使うと塩分が含み腐食の可能性が高いということで、わざわざ別の土地の砂を購入する必要があったのは驚きポイントです。)

一部の壁はコンクリート塗りにしてもらっていたものの素人では塗り壁はうまくいかず断念。しかしその場所が、大雨の日には外からの雨がしみているのが発覚。不安に。
コンクリートの隙間からアリの侵入経路もありました。
どうしたら限りなく完全防水に近づけることができるのか、防水シートなどの素材を検討しながら方法を模索していましたが、ある日、防水用に仕入れていたシリコン製の防水剤があったことに気づきました。コンクリートに染み込ませる塗料タイプのものです。

そしてさらに思いつきました、去年の梅雨前に行った雨漏りの補修(屋根)の時と逆に、中から塗料を重ねるのはどうだろうか?と。
あまり意味をなさないでしょうか?
実際の効果や耐用年数はやってみないとわかりませんが、しかしとってもシンプルでお手軽な方法です。
それは、それまで重たい気持ちだった施工への道の扉がふっと開いた瞬間でした。肩の荷がおりたと言いますか。

 

そんなこんなで天からの光を受けたかのような清々しい気持ちで、まずは1日目、アリの侵入経路を塞ぎました。透明のコーキング材にてコンクリートとタイル壁の隙間や角を埋めていきます。

次の日も念の為、2回目のコーキング。

その後、染み込むタイプのシリコン防水剤を重ね塗り。1回、2回、3回。床と壁が明らかに水をはじき弾き始めました。
いい感じ、いい感じ。これで下からの水、外からの雨も当分の間はこちら側には入ってこないことが期待されます。塗料の効果が続く限り。。。

その間日常的にシャワーは使っているため、施工の時間帯は前日のシャワーの水が乾くころの夕方を中心に。施工している浴槽部分ともう片方の洗い場部分とを養生シートで分断して施工、乾燥、を繰り返しました。
(一気に作業ができたらどんなにか楽なんだけどなぁ。)そんなつぶやきはどんどん水に流れていきます。風呂場だけに。

 

途中あることに気づきました。
去年入れ替えた天井に、なんと雨漏りの跡が。もしかしたら壁の浸水の原因は、横からではなく天井からだったかもしれません。
(この天井はまた厄介なため私一人の手に負えそうもなく、当分の間は見て見ぬ振りをしたいと思っています。色々見てしまうと前に進めない、、、ということで、、、ここにきてから体得した「すぐに動けないことは後回しにする」技法を使います。)

 

次に水性塗料を重ね塗りします。こちらも3〜4度塗りしました。ペンキ自体に防水の機能はないながらも、撥水に期待します。これは雨漏りの補修の時に学んだやり方の応用。

さらに、その後コンクリートの壁部分の仕上げ塗装と、濃い茶色(ブロンズ)のアルミサッシの窓も白に塗装しました。

ここからは浴槽設置用のボードを切断し、浴槽がおさまる形に施工していく予定です。今までは施工の準備段階。本番はここからなのです。